シリーズ

KURABI×榛原

‟KURABIシリーズ“と、東京・日本橋の老舗和紙舗 ”株式会社榛原(はいばら)“ がコラボレーションいたしました。
日本の伝統的な技法である “渋型紙” の美しい世界を現代につなぐ「百花デザイン」の和紙を使用しています。
図案の一つひとつに大切な願いが込められており、職人手造りの風合いとともに、
和紙に込められた想いを感じることのできる逸品となっております。

カワイ(株)「KURABI」×(株)榛原「百花デザイン」
ーー受け継がれてきた図案が、食卓で生きるまで

東京都・日本橋に店を構える和紙の老舗、株式会社榛原(はいばら)。
そして、福井県・小浜市で若狭塗箸をつくり続ける、カワイ株式会社。

異なる分野でありながら、
日本の暮らしと深く結びついてきた両者が出会い、
ひとつの「箸」が生まれた。

そこには、単なるコラボレーションでは語りきれない、
図案・技術・人への深い敬意があった。

今回、商品開発に携わった2名(榛原:中村様、カワイ:関口)に
インタビューを行い、そこで生まれた想いや開発秘話を紡いでいく。

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コラボレーションの始まり
 「実は、ずっと“箸にしたい”と思っていました」

左:関口(カワイ)、右:中村様(榛原)
※以下、敬称略

ー 中村(榛原)
実は、今回のお話をいただく前から、
社内では「榛原の図案をお箸にできないだろうか」
という話は出ていたんです。

ただ、千代紙をそのまま箸にするとなると、
知識も経験もなくて。
「これは難しいね」というところで止まっていました。

そんな中で、お客さんからも、
「榛原さんって、お箸作れないの?」

という声をいただくことが増えてきていて。
ニーズは感じつつも、どう形にすればいいのか、
分からない状態が続いていました。

ー 関口(カワイ)
そんなタイミングで、事情を知らない弊社が、貴社の素敵な図案や商品を見かけて
お声がけさせていただいたんですよね。

ー 中村(榛原)
そうですね。
特に印象に残っているのが、
「図案がいいんです」と言っていただけたことです。

図案が細かすぎると箸ではわからなくなってしまう。
でも最終的にカワイさんは、持ち手の柄幅を広く取ってくださった。
その判断が、本当に嬉しかったですね。

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お互いの会社の印象

 「この会社なら、任せられると思った」


※左:榛原 日本橋本店 右:カワイ(株)ショールーム

― 中村(榛原)
最初は「すごく今どきの会社さんだな」
という印象でした。

東京のオフィスも自由な風潮で、おしゃれで。
でも話を聞けば聞くほど、
むしろ「福井・小浜の工場や現場を見てみたい」
という気持ちが、強くなっていきました。

特に驚いたのが、
和紙を「こちらで切りますよ」
と言われた時です。
正直、「本当に切るの?」と何度も聞き返しました(笑)

― 関口(カワイ)
若狭塗箸は地場産業で、地域の人たちと一緒に成り立っています。
実は、人口約3万人の小さな市で、
全国の塗箸シェアの約8割を支えているんです。

和紙のカットや細かい作業など、
産地全体で職人さんや地域の皆様の手を
借りながら進めています。

― 中村(榛原)
誰がどの作業に向いているかわかっていないとできないことですよね。
そこに、長年積み重ねてきた信頼関係を感じました。

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百花デザインという取り組み

 「図案を、使われ続ける存在にしたかった」


※写真:榛原千代紙を表紙にあしらったノートブック

榛原の図案は、江戸千代紙に由来している。
武家文化を背景に持つため、柄は大きく、大胆。それが大きな特徴だ。

― 中村(榛原)
ただ、大きな図案を他のものに転用しづらい、
という課題もありました。

そこで、
「図案をデータ化し、サイズを変えても使えるようにした」
のが、「百花デザイン」の始まりです。

単にデザインをご提供するのではなく、
・ 図案に込められた意味を残すこと
・ 職人の仕事をつなぐこと
その両方を大切にしたいという思いがありました。

コロナ禍で仕事が減った時期、百花デザインは結果的に職人さんに仕事を
戻す役割も果たしました。

― 中村(榛原)
いろんな素材で、いろんな場所で使ってもらう。
今回、お箸に使っていただけたのは本来やりたかったことそのものなんです。

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歴史的な資産としての「渋型紙」


写真:左の茶色の型が「渋型紙」 デザインは「菊慈童(きくじどう)」

榛原の図案を語る上で欠かせない存在。
それが、「渋型紙」だ。

渋型紙とは、
「和紙に柿渋を塗って強度を高めた型紙」のこと。

染めの工房で繰り返し使われるため、
丈夫さと精度が求められる。
一部が破れたら、小さなアイテムに転用も可能で、
古来より受け継がれた
「捨てない暮らしの象徴」だ。

― 中村(榛原)
「和紙に柿渋を塗っているので、
少し硬くなっています。
ほんのり素敵な香りがすることもありますね」

この型紙は、単なる“道具”ではない。
明治・大正期から受け継がれてきたものも多く、
ひとつひとつが、図案そのものの歴史を背負っている。

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各柄に込められた想い

 「贈る時に、言葉を添えられる図案」

今回採用されたのは、4つの図案。
写真左から、「菊唐草」「紋入り七夕飾り」「宝尽くし」「鶴亀入亀甲唐草」

― 菊唐草(きくからくさ)
菊は殺菌作用を持ち、
古くから食と結びついてきた植物。
唐草は、「不老長寿」「繁栄」
を意味する。
食べ物を口に運ぶ箸にはふさわしい、
象徴的な柄だ。

― 紋入り七夕飾り(もんいり たなばたかざり)
七夕、そして松竹梅の紋。
日本らしさと縁起の良さを併せ持つ図案。
松竹梅の由来とされる、
中国の「歳寒三友」。
これは、
“寒い季節にも耐える3つの理想たる“友” の意。

― 宝尽くし
分銅、打ち出の小槌、隠れ蓑、丁子。
ひとつひとつが
「富」「願い」「守り」「貴重さ」
を象徴する。
特別な贈り物として選ばれることを想定した柄。

― 鶴亀入亀甲唐草(つるかめいり きっこうからくさ)
ひと目でわかる長寿の象徴。
「父に」「母に」と、
贈る相手が自然と浮かぶ柄。

― 中村(榛原)
ご自身で使うのはもちろん、
お渡しする、またはご進物のときに一言添えられる。
そんな図案を選んでいただけたのが嬉しいですね。

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図案を「箸」にするという難しさ

 「簡単そうに見えるところほど、手間がかかっている」


写真:境目には金の糸巻があります。

― 関口(カワイ)
和紙を箸に巻く以上、どうしても継ぎ目が出ます。
角に来ると浮きやすく、バリが出る。
そこを削って、塗って、また整える。
かなり細かい調整が必要でした。

職人さんからは
「もう少し幅を狭くした方が楽だ」
とも言われました。
でも、図案の意味を知っていたからこそ、
「それはもったいない」
と思ったんです。

― 中村(榛原)
金のライン(糸巻き)も印象的でした。
お箸は完全に真っ直ぐではないから、
均一に仕上げるのは簡単ではないはずです。

― 関口(カワイ)
最後の一歩まで、職人さんの感覚で仕上げています。

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なぜこの4柄だったのか

 「“語れる図案”であること」

写真:はいばら 百花レターセット

― 関口(カワイ)
例えばレターセットのように、
百花デザインの中には素敵な図案が
たくさんありました。

「この図案で何を伝えられるか、
贈る時に言葉を添えられる図案」
を私の中で一つのテーマとして、
今回の4柄を選定しました。

― 中村(榛原)
意味があって、背景があって、使う人の暮らしに寄り添える。
そういう図案が、最終的に選ばれたのだと思います。

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完成品を手にしたとき

 「これで良かった」

― 関口(カワイ)
正直、途中で大変なことも多かったです。
紙の厚みやサイズ調整、また塗料との相性など、
失敗を繰り返して・・・

でも、完成品を見て
「やって良かった」と思いました。
度重なる修正に対応いただいた、
榛原様、職人への感謝でいっぱいです。

― 中村(榛原)
しっかりした箸に、榛原の図案が載っている。
それだけで、胸がいっぱいになりました。

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⑨この箸を手に取る方へ

― 中村(榛原)
食卓に置いて、ふと図案を眺めてほしい。
「この図案、いいね」
と会話が生まれたら嬉しいです。

― 関口(カワイ)

図案の意味、職人の手仕事、一本の金線、そのすべてに意味があります。
日々、ふとした時に思い出して使っていただけたらと思います。

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これからについて

― 中村(榛原)
お箸だけでなく、箸置きやカトラリーも一緒にやってみたいですね。
― 関口(カワイ)
ぜひ。この取り組みを、これからも広げていけたらと思っています。

KURABI×榛原のお箸は2026年1月20日に、カワイ公式オンラインショップにて
ご購入ができます。

カワイ公式オンラインショップのリンクはこちらから
▶︎https://kawai-ohashi.stores.jp/

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